新潟・越後の言葉で語る昔ばなし

子供に昔話を読んだ後、少々のアレンジを加えて、故郷の言葉で語ってみたこて。

『ブレーメンの音楽隊』

グリム兄弟によるドイツのお話。旅仲間が次々に増えるところは『桃太郎』に似てる。けど、4匹もいるとなんだか面倒で。西洋の文化は4を好むんらよね。確か、ブレーメンの町には到着してないはず。久々に読んでみたこて。

 

ブレーメンの おんがくたい  ワンダーおはなし館4

ブレーメンの おんがくたい  ワンダーおはなし館4

 

ブレーメンの音楽隊

 もう、何年になるんらろか?

ロバはなーげこと荷車引いて働いてきたけど、この頃はすぐにくたびれる。

ゆっくりゆっくり、えんでは休み、えんでは休んで、お仕事ら。

ある日、おやじさんが

「仕事が進まねなあ。そろそろ、わーけロバと取り替えよかなあ。」

ゆうてるのを聞いて。

ロバは、かなーし気持ちになったこて。

荷車を引く仕事ができねば、どうしょかなあ……。

ああ、そうら。クリスマス用のもみの木を引いて旅したとき、にぎやかなブレーメンの町の広場で、音楽隊が楽ーしげに演奏していたなあ

 あの音楽隊が入れてもらわんねろか。

 

俺なんか、もう、必要ねえのらし。

 

ある朝、ロバは黙って、おやじさんの家の小屋から逃げ出した。

 

ブレーメンの町の方向に、とぼとぼ、えんでいくと。

道端で、年老いた猟犬が、ハアハア、舌を出して休んでいた。

「おやぁ、犬くん。どうしたぇ。」

「ああ、俺も歳取ってしもて、走んのがなんぎのらワン。

狩りに出ても、また獲物に逃げられてしもて。旦那さまがな、怒って、俺のことぶつんられや。だーすけ、逃げてきたワン。」

「気の毒らなあ……。俺ぁたって、ぶたれるのは嫌られよ。

よし、俺と一緒にブレーメンの町に行こて! ブレーメンの町には店屋がいっぺこと並んでいてな。にぎやかで、広場では音楽隊がいてさ。いろんな曲を演奏して、みんなを楽しませているいや。

犬くん。音楽隊に入れてもらえば、楽ーして、気も晴れるよ。 」

 

2匹がえんでいくと、今度は、うなだれた猫に出会ったこて。

「おやぁ、猫さん、しっぽまでしょーんぼり。ひげまで垂れて、元気がねえろ。」

「うん……。アタシは今、泣きて気分なんら 。もう歳らっけさ、ネズミを捕めえるのも一苦労なんらて。そしたら、おかみさんがさ、役立たずの猫なんか、川に投げて棄ててしもえ、ゆうたんよ。」

「かーうぇそらワン。」

「そんがのことなら、俺らと一緒に、ブレーメンに行こてぇ。あの町の音楽隊で、君は得意なセレナーデを歌えばいいこてや。」

 

さて、3匹が、大きなお屋敷のそばを通りかかると、

コケコッコー、コケコッコー!

コケコッコー、コケコッコー!

 のども張り裂けんばかりに、鳴いてるオンドリがいたこてや。

「朝でもねえのに、なに大声で鳴いてるてば。」

「おやぁ、ロバさん。僕が鳴けるのも今日限り。明日はスープになるコケ。奥さまが僕のこと、明日のお客さまにお出しする、スープにしてしまおて、ってゆうてたコケ。」

「逃げればいいねっか。」

「庭の外はおっかのて、出らんねぇコケ。」

「おし、俺らと一緒に行こう。ブレーメンに行こてば。ブレーメンの音楽隊にへって、♪この世はなかなか悪くない♪て歌うんら。」

 

こうして、年寄り四人組は、ブレーメンの町を目指して出発したのら。

 

でも、ブレーメンの町は、はるか彼方。

とても一日で行かんね遠いところにある。

 

そろそろ、日が暮れてきたろう。

腹も減ってきたいや。

 

ブレーメンて、どんがのところなんらコケ。

「ロバさん!  あっら、あっら。(=あれだ、あれだ。)  ブレーメンの町らコケ!」

木の上に上ったオンドリが、灯りを見つけたこて。

「ちごーてば。ブレーメンの町は森のもっともっと向こうらてば!」

「ただの家の灯りなんじゃニャアーの?」

「良かったワン!  一晩、泊めてもらおうや。」

 

一行はわくわくしながら、森の中の道をえんでいったこて。

「ふんふん、鶏の丸焼きとソーセージ。ビールとワインの匂いがするワン。」

「煙突から煙がもくもく。タバコの煙も、もくもくニャー。」

 

 

あーっはっはっはー!

あーっはっはっはー!

 

俺たちのすんばらしー仕事にかんぺー!

頭脳明晰、度胸ある親分にかんぺー!

怠けこきらけど、やるときゃやる!

勇気ある俺らに、かんぺー!

 

カシャン、カチャン!

 カチン、カチャン!

 

「あっはっはー。なら(=おまえら)、何度乾杯すりゃ、気が済むんらてば。」

「いやいや、あんときのタヌキオヤジの顔ときたら。」

 「ない、ない、って、首、横に振ってたくせに、ナイフ突きつけたら、隠し扉の中から、金貨をザクザク出しよって!」

「い、い、い、命だけはー、命だけはぁぁ、て、鼻水垂らして。」

あーっはっはっはー!

「い、い、い。……ズルズルーッ!」

あーっはっはっはー!

 「い、い、い。」

うひゃっひゃっひゃー!

「ああ、わろいすぎて、腹がいてろう!」

 

 

 家の壁はつただらけ。カーテンはボロボロ。

暖炉でボンボン薪を燃やして。

ランプの炎が揺れるテーブルで、男たちが、酒飲んで騒いでる。

 

窓から見た猫がゆうたこて。

「無造作に並べてある宝石は盗んだものニャね。」

「ブドウもリンゴも、葉つきで、畑からむしってきたって感じニャ。」

「食器もグラスもバラバラの寄せ集めニャー。」

つまり、盗っ人(=泥棒)の家 。アジトってやつか。

 

「なんともうまそうに食ってるなあ。」

「僕たちもありつけたいコケ。」

 のどがゴックン!

 

そこで 

4匹は盗っ人たちを追い払う相談を始めたこて。

1匹ではできないことも、4匹集まれば、知恵を出しあい、できるようになる。

4匹一緒なら、勇気も湧いて、何らたってできるこて。

 

よーっし!

 

ロバが、窓枠に前足をかけて立ち、その背中に犬が乗り、犬の背中に猫がよじ登ると、猫の頭の上に、オンドリがパタパタパタ。

 

「うふふふ、盗っ人たちは、アタシたちを何だと思うニャロか?」

 

あーっはっはっはー

あーっはっ……んん?

「うわ、窓の外見れ!」

「なんだてぁ?!」

 

突然、現れた、なんとも言えないおっかなげな形をした影が、こちらを覗き見て、吠えたこて。

「コケコッコニャーゴワワワンブヒーン!」

 

「ひゃっ!」

「おわっ!」

「た、た、た、助けてくれーっ!」

ガラ、ガタ、ドタ、バタ!

ガシャン!  ドタッ!

カラン、カラン。

椅子蹴倒して、ヤカンや鍋にもけつまずいて、盗っ人どもは、あわてて逃げていったこて。

 

 

 

まだテーブルの上には、ごっつおが残ってるぉ。4匹の化け物たちは、遠慮なく腹いっぺこといただいたいや。

 

はらくちんなって、ばーか幸せらてぇ。

暖炉の炎がとろとろ燃えて、あったこてー、んーな、寝むてぇなってきた。

 

「ああ、眠い。そろそろ寝る時間らねえ。俺は庭の干しわらの上で寝るすけね。」

て、ロバがゆうと、

「猫は暖かいところがいいニャー 。そうね、暖炉のそばニャ。」

「犬は入口、ドアの影ってとこらワン。」

「ニワトリは屋根の上に決まっとりますコケ。」

 

それぞれが、それぞれの気に入った寝場所を見つけて、スー、スー、スー。

寝入ってから、どんがぐれ経ったろか?

 

ぬきあし、さしあし……。

そーっと、ドアを開けて……。

なんと、盗っ人一味の子分がひとり、真っ暗え家の様子を探りに戻ってきたろ!

 

「おやぁ、静かになったなあ。

ありゃ、なんだったのらろか?

悪魔が通りすがりに、ちぃーとばか、家ん中を覗いただけらったのかどうか。

さて、灯りがないと……。」

男は、暖炉の灰の中の、まだ、赤々としている火種に木枝を差し出したのらけど。

それは、火ではのうて、光る猫の目らったこて。

 目を覚ましたとたんに、棒でつつかった猫はたんまげて、

フギャー!

と、男の顔をバリバリバリッと、思いきりひっかいた!

 「いてーっ! いておーっ!」

 男が顔を押さえて、ドアに向かうと、

ウウウウウ……。

て、あやしい気配にうなっていた犬が足をガブッ

 「うひゃー!」

 あわてて外に出れば、ロバの後足キックが

ボカーン!

「うおぉぉ!」

男が、蹴られたケツを押さえてよろよろしてるとこに、

ケケケケケケッ!」

ヒューゥゥ、バサーッ

て、屋根から降りてきたオンドリが、頭や背中を突っついたー!

「ひゃーあぁ!   てっ、いてててっ!

かんべしてくれ!  へえ、かんべんしてくれてばー!」

 

「ハァ、ハァ、ハァ。」

必死で森の家から逃げてきた男は、

森の外れで待つ、親分と盗っ人仲間にゆうたんや。

 

「親分、てえへんらんや!

あの屋敷は、ごったおっかねことになっているいや!

暗闇ん中に、光る目の魔女がいて、近付くもんを長い爪で引っ掻く!

床には巨人が寝そべっていて、地獄へ引きずり込もうと足をつかむ!

 慌てて外に出りゃ、

待ち伏せしてた鬼が金棒を振り回してきてな、

ヒューって、屋根から小鬼が、おらに跳びのってきて、小刀で頭を差すのらんや!」

 

「ほ、ほんがらてや?」

「お、おっかねー!」

「何でそんがんのに取りつかれたんやら。」

「へえ、帰らんねお。」

 盗っ人どもは、森の中のアジトには、二度と近づかねかったこて。

 

 

盗人のアジトの家の中には、

どうやって金に変えるか困ったガラクタがふっとつあって。

太鼓やら、ギターやら、楽器だって、幾つもガラクタの中に埋まってた。

 

 ♪ドンガラガッタ、ドンガラガッタ、

  プーカ、プーカ、

  ティンティキティン!

 

♪ドンガラガッタ、ドンガラガッタ、

 フーガ、フーガ、

  コンティキティン!

 

 「品のない音ニャワねー。」

て、言いながらも、猫は嬉しそう。

 

毎夜、猫は夜中に歌う。

 

♪ニャアーアーアーアー

ミャアーアーアーアー♪

 

森の小鳥たちは、猫がいるてば!て、たんまげて目え覚まして騒いだけど、それは、最初の数日だけ。

やがて、あの家はにぎやかになったのだな、と、時々、木々の梢に止まって、音楽を聞いたこて。

 

ロバの担当は、ドラムスやベース、重低音。

犬は何でも屋で、意外と何の楽器でも器用にこなす。

オンドリは高音担当で、せっかちなのが、たまにきず。

 でも、

ブレーメンの町に行かんでも。」

「アタシたち四人組は素敵ニャ音楽隊らね。」

 「あーしれ、こーしれ、て、人間に指図されねで、俺らは、ここが楽しいワン。」

 「ここでずっと一緒に暮らすコケ。」

 

♪ドンガラタッタ、ドンガラガッタ、

 プーカ、プーカ、

 コンティキティン!

 

 

 

 

 

 

久々に読んでみたら、シニアのシェアハウスの話らった!

 

 

 

原本:ワンダー名作館10

ブレーメンの  おんがくたい』

原作:グリム兄弟

文:高見のっぽ  絵:米山永一 

 

 

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