新潟・越後の言葉で語る昔ばなし

昔話を読んだ後、頭に浮かんだストーリーを、故郷の言葉で語ってみたこて。

『ねずみのすもう』

幼児向けの短編。絵が愛らしく、ほほえましいお話で、ねずみを害のある動物だと思っていねかった子供の頃が懐かしく思えたこて。

 

 ねずみのすもう

むかーし昔のことらこて。

おじいさんが、山で薪(たきぎ)を拾っていると、

後ろの草の茂みの方から、

「よいしょ!」

「よいしょ!」

て、元気な声が聞こえてきたろ。

 

おじいさんが、そーっとのぞいてみっと、

2匹のねずみが相撲をとってる。

 

「あれ、あれ、

やせたねずみは、おらちのねずみら。

もう一匹の太ったねずみは、長者さんちのねずみらなぁ。」

 

「よいしょーぉ、えいやぁ!

あははははぁー! 勝った、勝った、

また、俺の勝ち!」

太ったねずみは得意顔。

 

おじいさんちのねずみは、

何度やっても、すってんころりん。

負けてばっかりいたこてや。

 

なんとか、勝たせてあげてえねえ。

 

おじいさんとおばあさんは考えて、

お餅をついてやったこて。

ねずみの住んでる屋根裏に、

そうっと、置いてやったこて。

 

次の日、おじいさんと一緒に、おばあさんも山にえんでいってみた。

「よいしょ!」

「よいしょ!」

元気な声が聞こえてきたすけ、

でっこい木に隠れて、そうっとのぞいたろ。

「よいしょ!」

「よいしょ!」

今日は、やせねずみがつーよて、

なかなか勝負がつかねえろ。

 

「ぃっしょーい、えーい!」

 

とうとう、おじいさんちのやせねずみが、

長者さんちの太ったねずみを投げ飛ばしとぉ!

 

 

「はぁ、はぁ、きっつかったなあ。

おめ、どうして、そんがにつーよなったのら?」

「えへへん!

きんのの夜、おじいさんとおばあさんが餅をついてくれてさあ。

おら、いっぺことごちそうになったのら。」

「ええー。いいなあ。

餅ついたときは、俺にも食わしてくれよー。」

「うん、いいよ。

でもさ、おらんちは貧乏らすけ、

次は、いつ、餅つくのらか、わからねぉ。」

 

 

家に帰ったおじいさんとおばあさんは、

ちぃーとばか。

2匹分の餅をついたこて。

そっから、おばあさんはチクチク縫うて、

赤いまわしも2本こしょてやった。

 

餅とまわしを見つけたやせねずみは、

たんまげて、太ったねずみを呼んだこて。

 

2匹分のお餅。2匹分の赤いまわし。

2匹はうれーして、うれーして。

大喜びしたれ。

 

 

その夜、遅うなってから。

おじいさんちの屋根裏に、

「よいしょ、こらしょ。」

て、長者さんちのねずみがやって来て。

担いできた小判を、

そーっと、置いていったてや。

 

 

 

「はっけよーい、のこった! 」

「のこったぁ!」

 

「よいしょ!」

「よいしょ!」

 

次の日、赤いまわしをつけた2匹のねずみが、山で元気に相撲をとっていたれ。

勝ったり、負けたり、

勝ったり、負けたり。

「よいしょ!」

「よいしょ!」

て、励んでいたれ。

 

おじいさんとおばあさんは、

小判を見つけて、ばーか喜んで、にこにこしてぇ。

米屋に行って、餅米買うて。

 

また、餅ついてやったこて。

 

 

 

いかったがのし。

 

おしまい