新潟・越後の言葉で語る昔ばなし

子供に昔話を読んだ後、少々のアレンジを加えて、故郷の言葉で語ってみたこて。

「桃太郎といわれた男」① 誕生

故郷の訛なつかし。
子供のために買った本を、昭和生まれの自分の記憶をもとに、新潟言葉で読んでみれば、ご覧の通り。
「桃太郎」は、確か岡山県の話では?
越後の国に、桃太郎と呼ばれる男(の子)がいたとしたら……。
時々、そんがのことを考える私らこて。

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「桃太郎といわれた男」① 誕生


昔むかーし あったてや。

爺さと婆さがいたこてや。

毎日毎日 仏様に
子を授けてくれと拝んだれも、
とうとう授からんで。

あっちぇ夏も、さあめ冬も、
さびーしく暮らしていたこてや。


ある日 爺さは山へ柴刈りに、
婆さは川へ洗濯に行った。

野良仕事で汚った着物(よごったきもん)を
じゃーぶじゃぶ ごーしごし
あろてたら。


どんぶらこー、どんぶらこ。

信濃川に注いでる、
もみじ山の谷からの 流れに乗って、

ひとーつ、またひとつ。
次々、桃が流れて来たこてや。


木から落ちた 桃らろか?
誰か(だか)が落とした 桃らろか?

わからねろも、

婆さは、
一番でっこい桃をなんとかつかまえて、
抱えて家にけえったこて。


「なに? ばかでっけぇ!
これが桃らてか!」

爺さもたんまげたこて。


どうしたもんらか、かんげぇーたけど、
やっぱ、食てみることにした。


まな板の上、のして。

そろーっと包丁で切ろうとすっと。

桃は、ぱかっと、ふたっつに割れて、

ほぎゃーほぎゃーと
元気な坊やが出てきたいや。


桃から生まれたすけに、
桃太郎となめぇをつけて。

爺さと婆さは、
坊やを大事にでえーじに育てたこてや。



つづく。



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